近年、大きな地震や豪雨など多くの災害が起きています。
その災害は時に予期せぬ規模のものとなり、避難を余儀なくされる事もあります。
避難先は親せき宅や学校、集会所などの避難所という事になりますが、場合によってはその避難生活は長引く事もあります。
近年の災害による避難先の様子をテレビなどで見ると、様々な問題も起こっているようですね。
そうした避難先で困ることを事前に知っておく事で、避難する際に用意しておくと良い物や、避難生活の心構えが出来るので、避難生活に備えた対策として役立つ事も多いのではないかと思います。
この記事では避難生活で困ることをピックアップし、いつ起こるかわからない災害に備えられるように、役立つ情報をお届けしたいと思います。
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避難所生活で困ることとは?:避難所の役割と種類
避難所生活とは、地震や豪雨などの自然災害で自宅に住み続けることが難しくなった人たちが、一時的に身を寄せて生活を続ける場所での暮らしを指します。
多くの自治体では、小学校や中学校、公民館などの公共施設が避難所として指定されています。
こうした場所は、屋根の下で安全を確保できるだけでなく、行政やボランティア、地域住民の協力によって食料や水、毛布などの支援を受けられる拠点にもなります。
最近の災害では、体育館など大きな空間に多くの人が集まるケースが増えましたが、設備面の整備が追いつかず、不自由な環境に耐えなければならない状況も少なくありません。
特に夏の猛暑や冬の寒さ、感染症対策などは避難所運営の大きな課題です。
避難所には、短期間の滞在を目的とする「一次避難所」と、長期生活を想定した「二次避難所」があります。
災害発生後の数日間を安全に過ごすための一次避難所に対して、二次避難所では仮設住宅に移るまでの間、数週間から数か月の生活を送ることもあります。
こうした避難所の仕組みを理解しておくことで、非常時にも冷静に行動できるようになります。
避難所生活の実態とは
避難所での生活は、災害直後の混乱のなかで始まります。
多くの人が一度に避難してくるため、まず直面するのは「限られた空間での共同生活」です。
体育館や公民館など広い場所が使われることが多いですが、プライバシーの確保は難しく、就寝スペースも一人あたりの面積が2〜3平方メートルほどしかない場合もあります。
2024年の能登半島地震の際には、暖房設備の不足やトイレの衛生環境の悪化が大きな問題になりました。
特に高齢者や乳幼児を抱える家庭では、健康への影響が懸念され、心身の負担が重くのしかかったと言われています。
災害が長期化すると、食料や水の供給だけでなく、心のケアも重要な課題になります。
避難所では、地域住民同士が協力して役割を分担するケースも多く見られます。
炊き出しの担当や清掃、物資の管理など、少しずつ「小さなコミュニティ」ができていくのです。行政やボランティアだけに頼らず、住民一人ひとりが助け合う意識を持つことで、避難生活のストレスを軽減できます。
また、自治体によっては「ペット避難スペース」や「女性専用エリア」を設けるなど、年々改善が進んでいます。
しかし、まだ全国的には整備が追いついておらず、避難所生活の課題は多く残されています。こうした現実を知っておくことで、いざというときの備えがより具体的になります。
避難所生活で困ることとは?:食料・トイレ・プライバシーなど
避難所での生活では、普段の暮らしでは想像できないような不便が次々に現れます。
中でも大きな課題となるのが、食料不足、トイレ環境、プライバシーの欠如、そして精神的なストレスです。
これらは一つひとつが密接に関係しており、どれか一つが欠けるだけでも避難生活の質は大きく低下します。
まず食料についてですが、災害直後は物流が止まり、救援物資の到着が遅れることがあります。
2023年の能登半島地震の際には、主要道路の寸断で物資の搬送が数日遅れた地域もあり、パンや水が1人1日分も行き届かない日が続きました。
非常食の備蓄を家庭単位で用意しておくことが、最も効果的な対策です。特に乳児や高齢者がいる家庭では、ミルクや介護食などの特別な食品を備える必要があります。
次にトイレの問題です。断水や下水道の破損によって、避難所のトイレが使えなくなるケースは非常に多く見られます。
衛生状態が悪化すると感染症が広がる危険があるため、自治体は仮設トイレの設置を急ぎますが、数が足りないことも少なくありません。
近年は、携帯トイレや凝固剤などの簡易グッズを各家庭に備えておくことが推奨されています。
そして見落とされがちな課題がプライバシーです。
体育館の床に並べられた寝具だけでは、家族ごとの区切りもなく、夜間に安心して休むことが難しくなります。
最近では段ボールパーテーションやテント式の仕切りを導入する避難所も増えています。
実際、宮城県石巻市ではパーテーションの導入後、避難者のストレスが約30%軽減されたという報告もあります。
このような基本的な環境整備が整っていないと、心身の健康を保つのは難しくなります。
避難生活を少しでも快適にするためには、個人や地域が平常時から防災グッズを準備し、自治体と協力して「快適な避難所運営」を意識することが大切です。
食料不足の問題
災害が発生すると、道路の寸断や物流の混乱によって、避難所に食料が届かなくなることが多くあります。
特に災害発生から72時間は「人命救助の最優先期間」とされ、食料の供給よりも救助活動が中心となるため、避難所ではパンやおにぎりすら足りない状況が続くこともあります。
2024年の石川県の災害では、発災から5日目になってようやく安定的な食料供給が始まったという報告もあります。
食料不足が続くと、まず問題になるのが栄養バランスの崩れです。
炭水化物中心の食事が続くと、体力の低下や便秘、免疫力の低下などにつながります。
特に高齢者や子ども、持病を抱える人は健康を維持することが難しくなります。
こうした事態を防ぐためには、家庭で非常食を備えておくことが何より大切です。目安として、1人あたり3日〜1週間分の食料と飲料水を確保しておくのが理想です。
最近は、味や栄養バランスを考えた「長期保存食」も多く販売されています。
アルファ米やレトルトカレー、缶詰、ビスケットなど、普段の食事にも使えるものを選ぶと、ローリングストック(使いながら補充する方法)が実践しやすくなります。
また、避難生活が長期化した場合、自治体やボランティア団体による炊き出しも行われますが、食事制限のある人やアレルギーを持つ人には対応できないこともあります。
そのため、家庭で準備する際には「誰でも食べられるもの」だけでなく、「自分や家族に合った非常食」を意識して備えることが重要です。
こうした事前準備が、避難生活中の健康維持と安心感につながります。
トイレの問題
避難所でのトイレ環境は、避難生活の満足度を大きく左右する重要な要素です。
災害が発生すると、断水や下水設備の損傷によって通常のトイレが使用できなくなることが多くあります。
その結果、長蛇の列ができたり、衛生状態が悪化して臭いや感染症が問題となったりします。
特に高齢者や女性、子どもにとっては大きな負担となり、トイレを我慢して脱水症状や体調不良を起こすケースも少なくありません。
実際、2011年の東日本大震災の避難所では、仮設トイレの設置が遅れた地域で「トイレを控えるために水分を取らない」という行動が広がり、エコノミークラス症候群や尿路感染症の発生率が高まったという報告があります。
こうした事例からも、避難所運営においてトイレの確保と衛生管理がいかに重要かが分かります。
現在は、簡易トイレや凝固剤を使った「非常用トイレグッズ」が家庭用に広く販売されています。コンパクトに収納できるタイプや消臭機能付きのものもあり、避難時に非常に役立ちます。家庭では、最低でも1人あたり1日5回分を目安に、3日分ほどの簡易トイレを備蓄しておくと安心です。
また、避難所では清掃や消毒を定期的に行うことが欠かせません。ボランティアや住民同士でトイレの清掃当番を決めるなど、小さな工夫で衛生環境を維持できます。
トイレ問題は、避難者の心の健康にも影響するデリケートな課題です。行政だけでなく、地域全体で「快適に使えるトイレ環境」を意識し、平時から訓練や備蓄を進めることが求められます。

プライバシーの確保
避難所では、多くの人が一つの空間で生活を共にするため、最も深刻な課題の一つが「プライバシーの欠如」です。
体育館の床に布団を並べただけの環境では、隣との距離が近く、会話や音、光などが気になって十分に休息できないことが多くあります。
特に女性や高齢者、小さな子どもを持つ家庭では、着替えや授乳の場面で強いストレスを感じやすい傾向があります。
東日本大震災の際には、プライバシーを守れない環境が原因で、避難所にとどまらず自家用車やテントで生活する「車中避難」を選ぶ人が多数見られました。
しかし、車中避難はエコノミークラス症候群のリスクを高めるため、決して安全とは言えません。この問題を防ぐには、避難所の段階で「個人空間を守る工夫」を導入することが欠かせません。
現在、多くの自治体では段ボールパーテーションや簡易テント、カーテンなどを活用して個室のようなスペースを設ける取り組みが進んでいます。
例えば熊本県では、避難所ごとにパーテーションを備蓄しておき、災害時には即座に設置できる仕組みを整えています。
こうした工夫があると、避難者の安心感が増し、ストレス軽減やトラブル防止にもつながります。
また、プライバシーを確保することは、単に「他人の目を遮る」というだけでなく、心の安定を保つ上でも重要です。
自分の空間を確保できると、不安や緊張が和らぎ、家族との会話や休息の質も高まります。
平時から家庭や地域で「自分たちならどう仕切りを作るか」を話し合い、実際に段ボールなどで試しておくことも、防災訓練の一環としてとても有効です。
トラブルやストレスの問題
避難所では、さまざまな年齢や立場の人が一つの空間で生活を送るため、どうしても人間関係の摩擦が生まれやすくなります。
生活リズムの違い、騒音、子どもの泣き声、マナーに対する意識の差など、普段なら気にならないことでも、災害という極限状況では大きなストレスの原因になります。
特に長期の避難生活では、小さな不満が積み重なってトラブルへ発展するケースも多く報告されています。
2024年に内閣府が行った調査によると、避難生活中に「他者とのトラブルを経験した」と回答した人は全体の約3割にのぼりました。
その主な要因は「音や匂いに関する苦情」「共有スペースの使い方」「順番をめぐる争い」などです。
このような問題は、個人の性格や考え方だけでなく、避難所の環境や運営体制にも大きく影響されます。
ストレスを軽減するためには、まず「人と比べない」「完璧を求めない」意識が大切です。
避難生活は誰にとっても不自由なものであり、他者への思いやりが何よりも重要です。また、深呼吸や軽いストレッチ、好きな音楽を聴くなど、気分転換の時間を意識的に取ることで心のバランスを保ちやすくなります。
さらに、地域のつながりを日頃から築いておくことも、トラブル防止に大きな効果を発揮します。
平常時から近所とのコミュニケーションを取っておけば、災害時にも互いを理解し合い、協力しやすくなります。避難所は単なる「避難する場所」ではなく、助け合いのコミュニティでもあります。
小さな声かけや笑顔が、ストレスの軽減につながることを忘れないようにしましょう。
避難所生活で困ることとは?:まとめ
避難所での生活は、普段の暮らしとはまったく異なる環境です。
突然の災害によって慌ただしく避難するなかでは、精神的にも肉体的にも余裕がなくなり、現場で柔軟に対応するのは簡単ではありません。
そのため、平常時から「どんな状況でも困らない準備」を整えておくことが、何よりの安心につながります。
まず意識したいのは、家庭ごとの防災計画を立てておくことです。
避難経路や集合場所を家族で共有し、緊急時の連絡方法を決めておくだけでも、災害時の混乱を大きく減らせます。また、「非常持ち出し袋」には、最低でも3日分の飲料水、食料、医薬品、衛生用品、簡易トイレを入れておきましょう。高齢者や乳幼児、ペットがいる家庭では、それぞれに必要な物資を追加しておくことが大切です。
次に、メンタル面での備えも欠かせません。
避難生活ではストレスが溜まりやすく、気持ちが不安定になりがちです。
事前にリラックスできる方法を知っておくことや、日頃から「防災を生活の一部」として意識しておくことで、緊急時も落ち着いた行動が取りやすくなります。
また、地域での連携も重要です。
自治会や近隣住民との関係を築いておくことで、災害時に助け合える環境が整います。
実際、近年の災害では「日頃から顔見知りだった人たちが協力して避難生活を乗り切った」という事例が数多く報告されています。
避難所生活を少しでも快適にするためには、「行政の支援を待つ」のではなく、自分たちで行動する姿勢が大切です。
日常の延長線上に防災を意識することこそ、非常時に心の余裕を生み出す最善の備えと言えるでしょう。

